中学生の息子が自転車で交通事故をおこしました

「息子さんの自転車事故の件でご連絡致しました。」突然警察から電話がかかってきました。「それで息子は無事なのですか?今どこにいるのですか?」まず口から出たのはこんな言葉だったと思います。「いえ、息子さんが自転車で人を引かれたのです。

それでご自宅に連絡を差し上げたのです。」告げられた事実に頭が真っ白になり、返す言葉もありませんでした。

事故の詳細

息子の起こした事故の詳細はこうでした。自転車で歩道を走行中に歩道沿いの店舗から出てきた20代の男性の足を轢いてしまったのです。息子も転倒しましたが、息子はほぼ無傷でした。本来車道を走るべき自転車が歩道を走行中に起こした事故なので、明らかに息子の過失です。

男性は救急車で搬送されましたが、幸いにも軽傷で、特に通院の必要はないようでした。相手方に大きなケガがなかったことでひとまずは安堵しました。まずは主人、息子の3人で相手の方にお詫びに出向きました。相手の方は温厚な方で、加害者である私たちにも冷静に丁寧に接してくださいました。

これから治療費等の相談を進めていく必要があります。それについてはまた後日ということになりました。

事故の補償の交渉

幸いにも息子は学校が勧める共済タイプの自転車保険に入っていました。

年間2000円程度の保険料でしっかりとした保証が付いた保険だと認識していた保険です。早速保険会社に連絡を取りました。丁寧に対応していただきましたが、そこでわかったことは保険金は相手方にお支払い致しますが、相手方との交渉は自分で行わなくてはならないということでした。

そんなことはできそうもないので、最初の電話だけでもお願いできないかお願いしたのですが、保険契約に示談交渉は含まれていませんのでお客様が交渉をしていただき、お支払いする額等が決まりましたらご連絡くださいとのことでした。

そんなことやりたくないけれども、そんなことは言ってもいられません。何分初めてのことなので、どのように話し始めて良いかわからず、保険会社にアドバイスを求めたところ、「相手方も前方不注意ですので、5:5でいかがでしょうか。

と最初にお話されてください。」と最初に話すべき内容を詳しくアドバイスされました。いや、そんなことはないだろう。息子が全て悪いのではないのだろうか。そう思いつつも、保険会社の人に言われた内容を相手方にお伝えしました。

後で考えれば分かることなのですが、相手方は「何を言っているんだ。

こちらは歩行者で、自転車で歩道を走ってきたお宅の息子さんが100%悪いんじゃないんですか」と怒り心頭の様子。怒って電話を切られてしまいました。当然です。ああ、失敗した。これから一体どうなるのだろう。これが交渉のスタートでした。

保証金をお支払いするまで

しょっぱなから相手を怒らせてしまい、それ以後電話に出ていただけなかったため、私は途方にくれてしまいました。でも、そのままにしておくわけにもいかず、携帯のショートメールにお詫びのメッセージを送り続けました。

私は交渉は保険会社の方ではなく当方が行わなくてはならないこと、お伝えした内容はこちらの本意ではなく、保険会社の方に最初はこう言ってくださいと言われて連絡したこと、当方としては10:0で息子の責任だと思っていることを正直にお伝えしました。

何回かメッセージをお送りするうちに、相手方の怒りは収まり、また、電話連絡を取れる状況まで関係を改善することができました。お話しさせて頂くうちに、相手の方もわかってくださって、なんとか良好な関係で交渉をすすめることができました。

こういう話は当事者同士だと難しいですね、と何度となく話しました。私たちが幸運だったのは、相手の方がとても良い方だったことです。まだ息子さんが若いので警察沙汰にせず治療費と交通費を保険からお支払いするだけで構わないと言ってくださったのは本当に有難いことでした。

最終的にでた結論は保険金としての交通費、治療費と私共からの慰謝料的な意味合いのお詫びのお金を多少お支払いし、示談することとなりました。

自転車保険には入っていたけれども

よくニュースで子供が起こした自転車事故で相手方が亡くなられてたり、大変な賠償金が必要になったという話を聞いてはいたけれども、自分にはあまり関係ないことだと軽く考えていました。しかも、学校が勧める共済に入っているからもしもの時も大丈夫だと特に心配もしていませんでした。

実際に子供が事故を起こして思うのは、もっと真剣に保険の保証内容を読んで、もしもの時のことを考えておくべきだったということです。

安くて安心、はもちろん素晴らしいのですが、示談交渉なし、ということは全く念頭にありませんでした。自分で交渉することは本当に大変で、動揺している状況で素人にできるようなことではありませんでした。契約前に保証内容の詳細をしっかり理解しておくことが大事だと思い知らされました。

子供と話し合って考える

今回の事故では当事者である息子が、実際に相手方にお詫びしたのは最初と事故後の2回だけでした。相手がこれ以降は子供さんは同行しなくてもいいですよ、とおっしゃってくださったこと、学校の授業があり相手方と時間が合わなかったこともあり、あとは両親と相手方の交渉となり、息子が直接事故を起こした相手とお話する機会はありませんでした。

しかしながら、示談が成立するまでは自分の犯したことの重大さを悔やみ、とても動揺し、落ち込み、いろいろと考えることの多い時間を過ごしました。たまたま相手の怪我が軽く、優しい方だったのでこれで終わることが出来ました。

しかしながら、ちょっとしたタイミングが違えばもっと大変なことにだってなり得たのです。事故の示談が成立し、落ち着いた頃に息子とはいろいろ話し合う時間を設けました。交通ルールのこと、自転車で走る際の注意点、今回はどれだけ自分は幸運だったのかということ。

この事故で親子共々勉強させていただきました。

家族で話し合って自転車保険も変更しました。あれから2年経ちますが、その後息子は自転車で人様に迷惑をお掛けするような事態は起こっていません。このようなことが他に起こらないことを心から祈るばかりですが、自転車に乗る子供さんがいらっしゃるならば一度親子で自転車の危険性について、万が一の保険についてなど話し合う機会を持たれるのもいいかもしれません。

ここでお話した私どもの家庭の経験が少しでもなにかのお役に立てれば嬉しく思います。